干し野菜 キャベツ編|甘みが引き立つ理由と使いやすさを徹底解説
「あー、やっぱり高いなぁ……」
海外食材を取り扱っているスーパーマーケットのチーズコーナー前で、ひとり考え込む私。その日の私のお目当ては生ハムだった。
「今日はワインの気分だったのに」
私は仕事帰り、今夜はワインを飲むぞと決め込んで少しハイクラスなスーパーマーケットに立ち寄り、既にワインを買い物かごに入れ後は生ハムを買うだけというところだった。
近年の物価高は深刻なのだと痛感する。
なんだか興ざめしワインも生ハムも諦めた私はスーパーマーケットをあとにし、近所の商店街をぶらぶら散策することにした。そこでふと足が止まったのは昔ながらの八百屋さんだった。キャベツが1玉格安の値段で売られていたのだ。
「2玉ください」
私は家の冷蔵庫の中に戴きもののソーセージと、乾麺のパスタがあったことを思い出し、夕飯は即席キャベツのペペロンチーノを作ることにした。
何ゆえ2玉もキャベツを買ったのか?それはもちろん、残ったキャベツは干し野菜に昇華させるためである。というかむしろ、ペペロンチーノに使うャベツの量は申し訳程度で、干し野菜がキャベツを手に入れた目的の9割を占めている。キャベツの干し野菜はそのまま食べてももちろん美味しいが、お味噌汁やスープに入れたり、ちょっとした煮物や炒め物に使える優秀食材だ。おまけに嬉しいポイントは水分が抜けることで甘さが増してキャベツのもつ良さをダイレクトに味わえるところにある。
気になる食感やいかに?キャベツの干し野菜はスープのような熱湯に入れてもシャキシャキ感がちゃんと残ってくれるのも特徴だ。お豆腐や油揚げはもちろん、他の野菜との相性も良く、汎用性が高いところも私は気に入っている。
私がキャベツの干し野菜を作るときの一工夫として心得ていること、それは、芯を取り除かないことだ。芯を残すことで葉がバラバラにならず干す際に便利だ。もちろん芯が苦手な人は取り除いて干しても問題ない。好みに合わせて自分だけの《良い塩梅》を見つけられるのも干し野菜作りの醍醐味だろう。こうしてこれまで家事自炊の類とは縁遠かった私が、乾いた畑の土に水が隅々まで通っていくかのごとく心のどこかでほんの少し憧れていた生活を手に入れたのだった。
「さあて、作りますか」
私は大振りで中身のぎゅっと詰まったキャベツ2玉を前に、エプロンの紐をぎゅっと締めた。
干しキャベツという選択肢
キャベツは日常的に使われる野菜でありながら、価格の変動が大きい食材でもあります。安く手に入ったときにどう使い切るかは、多くの家庭で共通の悩みと言えるでしょう。そんなときに有効なのが、キャベツを干し野菜にするという選択です。
干しキャベツは、保存性が高まるだけでなく、味や使い勝手が大きく変化します。冷蔵庫で場所を取らず、必要な分だけ使えるため、日々の料理に取り入れやすい食材になります。
キャベツを干すメリット
キャベツは干すことで、他の野菜とは少し違った魅力を発揮します。
甘みが増し、素材の良さが際立つ
キャベツを干す最大のメリットは、甘みがはっきりと感じられるようになる点です。水分が抜けることで、キャベツ本来の糖分が凝縮され、加熱するとやさしい甘さが前面に出てきます。味付けを最小限にしても成立するため、素材の味を楽しみたい料理に向いています。
食感が残りやすい
干し野菜というと、柔らかくなりすぎるイメージを持たれがちですが、キャベツは例外的にシャキシャキ感が残りやすい野菜です。スープや味噌汁に入れても歯切れがよく、食感のアクセントになります。この点が、干しキャベツが評価される理由の一つです。
汎用性が高く、料理を選ばない
干しキャベツは、和洋中どの料理にもなじみます。味噌汁やスープはもちろん、炒め物、煮物、パスタの具材としても使えます。他の野菜や豆腐、油揚げ、肉類とも相性が良く、献立の幅を広げてくれる存在です。
干しキャベツの作り方と工夫
干しキャベツ作りは特別な道具を必要とせず、家庭でも気軽に取り組めます。
芯を残すという選択
干しキャベツを作る際の工夫として、芯をあえて取り除かない方法があります。芯を残すことで葉がばらけにくく、干す際の扱いが楽になります。乾燥後にカットして使うこともできるため、作業効率の面でもメリットがあります。
もちろん、芯の食感が苦手な場合は取り除いて問題ありません。自分の好みに合わせて調整できる点も、干し野菜作りの魅力です。
干し加減は用途で調整する
完全にカラカラにするよりも、少し水分を残した半干し状態にすると、使いやすさが増します。スープ向き、炒め物向きなど、用途に合わせて干し加減を変えることで、干しキャベツの可能性はさらに広がります。
干しキャベツのおすすめの使い方
干しキャベツは、日常の料理に自然に溶け込みます。
スープ・味噌汁に加える
最も手軽なのが、スープや味噌汁への活用です。干しキャベツをそのまま入れるだけで、甘みと旨味が溶け出し、味に奥行きが生まれます。戻し不要で使える点も、忙しい日には嬉しいポイントです。
炒め物やパスタの具材に
オイルとの相性が良く、ペペロンチーノやシンプルな炒め物に加えると、キャベツの甘みが引き立ちます。乾麺やソーセージなど、常備しやすい食材と組み合わせやすいのも特徴です。
干しキャベツがもたらす生活の変化
干しキャベツを取り入れることで、野菜を無駄なく使い切る意識が自然と身につきます。安いときにまとめて購入し、保存しながら使うという流れは、食費の管理にもつながります。
干しキャベツは、特別な料理のための食材ではありません。日々の食卓に寄り添い、少しだけ暮らしを豊かにしてくれる存在です。自分なりの干し方や使い方を見つけながら、キャベツの新しい魅力を楽しんでみてください。