食品ロスにまつわる取り組み
有機JASの農作物を育てる取り組み
エチエさんでは代々田んぼを受け継いできたことから、自家製のもみ殻堆肥をつくり、精米した際に出る米ぬかもペレットにし、有機JAS認定の農作物を育てる田んぼと畑に散布している。
農地の片隅で熟成中の堆肥が積んである場所を通りがかると、堆肥だというのに何だかおいしそうなニオイがして、中には時々ピョンッと勢い良く飛び出す、元気いっぱいのミミズもスタンバイしていた。
農薬を使わない工夫
米農家さんならではの有機資材と共に、夏場は虫たちの大好物である葉物をつくらないなど、できるだけ農薬を使わないよう工夫されている。とはいえ、はじめからエチエさんは、自然のままの環境に優しい農業を実践してきたわけではない。
安心・安全な農業を目指したきっかけ
元々は葉タバコ農家としてスタートし、病気に弱い葉タバコを守るため、どうしても農薬を使っていたそうだ。それが、当時の代表だった雅夫さんが歯医者さんで聞いた話をきっかけに、安心・安全な農業を目指すことになる。
「永久歯が生えない原因に、除草剤が関係あるとか。子どもや孫のために、農薬は使いたくないと思ったね」。
映画のような人参畑
雅夫さんの言葉を思い出しながら、ふと農地を見回してみた。視界に入る山肌は赤く、土壌そのものは有機物が少なくて硬い、赤土のような見た目をしている。それなのに、畑の土はふわふわとした踏み心地で、人参畑の葉っぱまでふさふさと柔らかそうだ。
この地を耕したエチエさんたちの温もりが伝わってくるような世界観に、雅夫さんの思いは息子の昭公さんへと代替わりしてからも、大切に受け継がれていることをボクは心と身体で実感した。そして、こんなにも人と自然に優しい環境で育てられる野菜は、格別おいしい!に決まっていて、規格外の野菜も然り。
食品ロス削減に向けて
[エチエ農産]では食品ロスにまつわる取り組みが、まだ世間に浸透していない2013年頃から、敏江さんのアイデアで規格外の野菜を乾燥野菜やパウダーへと加工する事業も展開している。
試作を重ねて、徐々に開発した加工品のラインナップは、乾燥野菜とパウダーを合わせて20種類ほど。乾燥野菜も鮮度が命で、切り方や厚みによっても色と風味が変わると教えてもらった。
規格外の野菜を加工したり、野菜を出荷する作業場から、みんなでお昼ごはんを食べたり、休憩するプライベートな空間まで、整理整頓が行き届いているのも印象的だった。
一人ひとりが働く仲間を思いやりながら、丁寧に仕事されているのが分かるからだ。何より大前提として野菜の種類と味に間違いがなく、京都を代表する農家さんといっても過言ではない数々の魅力が、五感を通してじっくり確かめられたボクは。
このあとすぐ[エチエ農産]に、OYAOYAの主軸となる乾燥野菜の製造と仕入れを相談して、ビジネスパートナーとなった今も親戚のような距離感で、農作業を手伝いに行っている。
OYAOYAの始まり
OYAOYAはこうして京都府北部エリアを拠点に、エチエさん始動で規格外の野菜に価値を付け、いよいよ本格的に食品ロスの削減と向き合うことになった。
そして、もう一つの課題である農業の存続とも向き合えるよう、OYAOYAはこれからたくさんの若手農家さんと出会い、焦点を当てていくことになるのだけれど。
正直なところ僕の頭には、若い農家さんだけでは仕入れの量が足りなかったり、野菜の種類がバラけず似てしまわないか?などの思いもある。
だから、OYAOYAの土台をつくってくれている[エチエ農産]とは、末永いお付き合いを願っている。もちろん、Win-Winの関係で。