ドライフルーツのおすすめは?りんご・梨が選ばれる理由を解説

13 déc. 2025by 小島怜

ドライフルーツの魅力を発信する特集記事を組むことになった私は、執筆を開始して2ヵ月が過ぎようとしていた。ドライフルーツに随分と詳しくなった私は、各地から生産者さんこだわりのドライフルーツをお取り寄せしては、同僚たちと食べ比べをする日々を送っている。

私をはじめとする編集部員たちの興味はもっぱら、どのフルーツが最もドライフルーツとして優秀であるか、ということだ。

「私は断然柑橘系なんですけどねぇ……洋菓子作りにも使えるし」

お菓子作りが趣味の後輩のおすすめは先日私が実家から貰って帰って来た洋菓子に使われていた、みかんのドライフルーツだ。

「いやいや、ドライフルーツはやっぱり南国フルーツが勝ちっすよ」

入社2年目の若手男性編集部員が大柄な体躯を揺らしながら笑う。

「先輩は?どの果物がおすすめなんですか?」

後輩に水を向けられた私は、咄嗟に返答に困ってしまった。それは食べれば食べるほど、自分の中でのドライフルーツの印象や好みが変化していくのを感じていたからだ。後輩たちが言うように、柑橘系ドライフルーツは汎用性が高く優秀だし、南国系のドライフルーツは甘さが自慢で美味しい。では私は?そう考えた時、ふと頭をよぎったのは果物としてはいい意味で「平凡」と言われるリンゴにが浮かんでしまう。

「りんごかなぁ……」

私がぼそりと言った一言に他の編集部員たちは個々に意外そうな反応を見せる。

りんごはバラ科の果物で旬の時期は8月から11月とされている。とにかく歯ごたえが良く香りもしっかりした品種が多く日本では定番の果物だ。そんなりんごをドライフルーツにするとさらに糖度が高くなり凝縮された甘味が特徴だ。自宅で簡単に作ることも出来るので、ドライフルーツ好きにはたまらない果物のひとつだと私は思う。

そしてりんごと同じバラ科の果物として有名なものがある、「梨」だ。りんごがバラ科のりんご属であるのに対し、梨はバラ科の梨属に分類される。梨はりんごよりもはるかに水分量が多く瑞々しさが大きな特徴だ。本来、水分の多い果物はドライフルーツ向きではないとされるが、私はあえて梨もおすすめドライフルーツに推薦したい。なんといっても梨特有の優しい甘みと香りがドライフルーツにした際に発揮されるのが嬉しいポイントだからだ。また、酸味の強さを重視される人向けなのが青りんごのドライフルーツだ。りんごにも梨にもない、しっかりとした酸味がドライフルーツにすることで和らぎ、香りがより強調される。

是非、色んな人に食べ比べてもらいたい。

第五話:ドライフルーツの使い方そのまま編|少量で満たされるシンプルな食べ方

ドライフルーツという食品の面白さ

ドライフルーツは、果物から水分を抜くことで甘みや香りを凝縮させた食品です。保存性が高く、そのまま食べられる手軽さから、古くは保存食として、現在では間食や料理素材として幅広く利用されています。

近年は、砂糖や香料を使わず、果物本来の味を活かしたドライフルーツが増えています。単なる甘いおやつではなく、素材の個性を楽しむ食品として、あらためて注目されている存在です。

特に興味深いのは、果物によってドライにした際の印象が大きく変わる点です。生で食べたときのイメージとは異なる表情を見せることも多く、そこにドライフルーツの奥深さがあります。

ドライフルーツに向いている果物とは

すべての果物がドライフルーツに適しているわけではありません。仕上がりの良し悪しは、果物が持つ性質に大きく左右されます。

重要なのは、乾燥後も味の輪郭がはっきり残ることです。甘みや香りがもともとしっかりしている果物ほど、ドライ加工によって個性が際立ちます。また、噛んだときの食感が保たれやすいことも、満足感につながる要素です。

この条件を満たす果物として、りんごや梨は非常にバランスが良い存在と言えます。

りんごがドライフルーツとして優秀な理由

りんごは、日本では定番すぎる果物かもしれません。しかし、ドライフルーツにすることで、その評価は一変します。

乾燥によって水分が抜けると、りんごの糖度は相対的に高まり、自然な甘みが際立ちます。噛むほどに甘さが広がり、砂糖を使わなくても満足感のある味わいになります。この点は、ドライフルーツとして非常に大きな強みです。

また、りんごは品種による違いが分かりやすい果物でもあります。甘みが強いもの、酸味があるもの、香りが豊かなものなど、品種ごとの個性がドライにすることでより明確になります。食べ比べの楽しさという点でも、りんごは優秀な素材です。

そのまま食べるだけでなく、ヨーグルトやグラノーラ、焼き菓子などへの応用もしやすく、家庭用から業務用まで幅広く使われています。

梨と青りんごという意外な選択肢

梨は水分量が多く、一般的にはドライフルーツ向きではないとされがちです。それでも、あえておすすめしたい果物の一つです。

梨をドライにすると、瑞々しさは失われますが、その代わりに穏やかな甘みと上品な香りが前に出てきます。刺激が少なく、後味が軽いため、甘いものが得意でない人にも受け入れられやすい味わいになります。お茶請けや軽い間食としても相性の良いドライフルーツです。

一方、青りんごは酸味が特徴的な果物です。生ではシャープな印象がありますが、ドライにすることで酸味の角が取れ、香りがより強調されます。甘さ一辺倒ではない、爽やかさを楽しみたい人に向いたドライフルーツと言えるでしょう。焼き菓子やデザートのアクセントとしても使いやすい素材です。

食べ比べることで見えてくる魅力

ドライフルーツの面白さは、実際に食べ比べることでよりはっきりと感じられます。りんご、梨、青りんごは同じ系統の果物でありながら、ドライにしたときの印象は大きく異なります。

どれが一番優れているかではなく、どんな場面で、どんな気分で食べたいかによって選ぶ。その視点を持つことで、ドライフルーツの楽しみ方は一段と広がります。

ドライフルーツは、知れば知るほど奥深い世界です。ぜひ、自分なりの「おすすめ」を見つけてみてください。